- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
大腸ポリープ
大腸ポリープ

大腸粘膜の一部が「いぼ」のように隆起してできたものを大腸ポリープといいます。平坦なものやキノコのような茎があるものなど様々な形のものが存在し、組織構造によって上皮性(粘膜から発生したもの)・非上皮性(粘膜以外から発生したもの)に大きく分かれ、専門的にはさらに細かく分類されています(2020年の大腸ポリープ診療ガイドラインでは38種類のポリープが記載されています)。
上皮性ポリープには腫瘍性(大腸腺腫、大腸がんなど)・非腫瘍性(過形成性ポリープ、炎症性ポリープなど)があり、非腫瘍性ポリープは大きいものを除いて問題となることは少ないといわれていますが、腫瘍性ポリープは良性の病変であっても大腸がんに変化するものがあるため注意が必要となります。
大腸がんの発生には、正常な粘膜から直接がんが発生するパターン(de novoがんといいます)と、良性の大腸ポリープ(主に大腸腺腫)が悪性化してがんになるパターンがありますが、多くは後者によるもので、一般的に大腸腺腫はサイズが大きくなるほどがん化する確率が高くなるといわれています。様々な報告がありますが、直径5mm未満では0.4~3.4%、10mmを超えると10~30%程度にがんがみつかるとされています。
また、非腫瘍性ポリープに分類される過形成性ポリープは基本的にがん化しないと考えられていますが、過形成性ポリープに似た病変で右側の大腸に多くみられるSessile serrated adenoma/Polyp(SSA/P)や左側の大腸にみられるTraditional serrated adenoma(TSA)と呼ばれる病変があり、これらの病変はがん化リスクがあるため注意が必要です。平坦でわかりにくいため、大腸カメラでも見つけにくい病変といわれていますが、高性能の内視鏡を使用して注意深く観察することで発見できる病変も増えてきています。
大腸がんの予防のためには、がん化リスクのある大腸腺腫やSSA/P・TSAなどの病変を良性の段階でいかに早期発見・切除できるかがとても重要になります。
大腸ポリープは早期の段階では自覚症状を伴うことはほとんどありませんが、病変が大きくなると、便通異常(下痢、便秘便)や腹痛、血便、下血、粘液便などの症状が見られるようになります。大腸ポリープを早期に発見することで大腸がんの予防につながりますので、このような症状がある方は大腸カメラ検査による精密検査をおすすめします。
また、便潜血検査では、肉眼的には血便・出血を確認できていなくても微量な出血を感知して検査陽性となる場合がありますので、便潜血検査陽性となった方も早めの検査が重要です。
大腸ポリープができる主な原因は遺伝子の異常と考えられていますが、それだけではなく生活習慣なども影響しているといわれており、大腸ポリープ発生の要因として次のようなものがあげられています。
年齢
年齢が上がるにつれて大腸ポリープの発生頻度は上昇し、特に50歳以上では腫瘍性ポリープの発見率が上昇すると言われており、無症状の方の30%に大腸腺腫が見つかったという報告もあります。
家族歴
大腸ポリープの家族歴がある場合、大腸がんの発生リスクが1.4~3.9倍程度上昇するといわれています。
遺伝性疾患
家族性大腸腺腫症(FAP)では10代の若い頃から100個以上のポリープが発生し、放置すると40歳代で約半数・60歳代にはほぼ100%の方が大腸がんを発症するといわれています。
食生活
赤身肉や加工肉の過剰摂取、高カロリー食の摂取が大腸ポリープ発生リスクを高める傾向があります。一方、野菜や食物繊維の多い食事は発生予防に効果があるといわれています。
肥満
BMI上昇と腹囲増大がポリープ発生率上昇に関与していると報告されています。
喫煙、過量の飲酒
習慣的な飲酒や喫煙は大腸ポリープの発生リスクを上昇させると報告されています。
大腸ポリープの検査としては一般に便潜血検査、大腸カメラ検査が行われています。
便潜血検査は便に血液が混じっているかどうかを調べる検査で、陽性となった方の約30~40%に大腸ポリープが発見されています。安価で簡単に行える検査であり健康診断等で広く普及していますが、大腸ポリープに対する感度は7~30%程度と低く、検査が陰性でも大腸カメラ検査を行うとポリープが発見される方もいます。
内視鏡で大腸の粘膜を直接観察する検査です。他の検査では発見できない小さな病変をみつけることができ、粘膜の表面構造から大腸ポリープの種類を診断することもできます。大腸ポリープが見つかった場合にはその場で切除することもできます。その場で切除できない病変がみつかった場合には粘膜の一部を採取(生検)して病理検査を行うことで詳細な診断に繋げることもできます。
大腸カメラ検査で大腸ポリープが発見された場合、まずは治療が必要なポリープかどうかの判別を行います。病変の大きさ・色調・形だけでなく、色素内視鏡(インジゴカルミンという色素を散布して観察します)や特殊光(NBI)を使用して表面の微細な構造を確認することで腺腫やがんの可能性がある病変かどうか判断していきます。大腸カメラによる観察である程度の予測診断は可能ですが、確定診断には病変を採取して組織を顕微鏡で確認する病理組織検査が必要となります。
がんやポリープを切除する内視鏡治療の代表的なものとして以下の3種類があり、病変の形や大きさに応じて使い分けられます。内視鏡では治療が難しい病変の場合には、外科手術が必要となる場合もあります。
①コールドポリペクトミー
10mm未満の小さいポリープが適応となります。病変にスネアをかけ、電流を使用せず切除します。術後の出血・穿孔のリスクが少なく短時間で処置が可能です。一般的に最も多く用いられる手法であり、安全性が高いため日帰りポリープ切除にも適した治療方法です。
②内視鏡的粘膜切除術(EMR)
粘膜下に針で生理食塩水などの液体を注入してポリープ全体を持ち上げ、そこにスネアをかけて高周波電流を流して切除する方法です。病変をより確実に一括切除できるほか、切除時の熱が深部に伝わらないため安全に処置ができます。平坦で処置が難しい病変の切除も行うことができ、20mm程度までの大きな病変に対する治療も可能です。
③内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
サイズの大きな病変や早期の大腸がんが疑われる病変などに対する治療方法です。数日間の入院が必要な治療法ですので、当院では行っておりません。
当院でも日帰り大腸ポリープ切除手術を行っております。
当日の処置を希望される方には大腸カメラ検査時に発見されたポリープを可能な限りその場で切除し、病理検査による確定診断まで行います。別日の再検査や入院の必要がありませんので、食事制限や前処置の負担を減らすことができます。
※ポリープの数や種類・大きさによっては入院治療が必要となる場合がありますので、入院治療が必要な方は連携する高度医療機関を紹介させていただきます。
大腸ポリープ切除後、頻度は低いものの出血や穿孔などの合併症がみられることがあります。合併症予防のために、治療後1週間程度はアルコール類や刺激の強い食事は避け、腹圧のかかる運動や長時間の入浴、飛行機などの長距離移動は控えてください。
大腸カメラ検査予約時には、これらの制限について説明を行い検査スケジュールの相談をさせていただきます。
大腸ポリープは放置するとがん化するものが多いといわれていますが、良性のうちに治療することで大腸がんは予防することができます。大腸ポリープの既往やリスク因子のある方はポリープの早期発見のために定期的な大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
| 1割負担 | 準備中 |
|---|---|
| 2割負担 | 準備中 |
| 3割負担 | 準備中 |
| 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
|---|---|---|---|
| 大腸内視鏡検査(観察のみ) | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| 大腸内視鏡検査+生検※ | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| ポリープ切除 | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
(税込み)
※生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です。
※上記費用に診察料、薬剤料などが別途かかります。

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