- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシア(FD)とは、内視鏡などの各種検査で症状の原因となりそうな器質的な異常がないにもかかわらず、胃痛(みぞおちの痛み)や胃もたれ、胃の膨満感、胸焼けなどの上腹部症状が慢性的に続く疾患で機能性胃腸症とも呼ばれます。一般成人の有病率は7~17%程度といわれており、上腹部症状で病院を受診された方の45~53%が機能性ディスペプシアであったという報告もあります。以前は神経性胃炎や自律神経失調症と診断され適切な治療を受けられていない場合もありましたが、2014年にガイドラインが発刊され近年では体系的な診断・治療が行われるようになっています。
胃は、食べ物を溜めておくために緊張を緩めて膨らむ適応性弛緩と、適量ごとに蠕動運動により十二指腸へ食べ物を送り出す排出機能を持っています。
機能性ディスペプシアの原因は完全には解明されていませんが、このような胃や十二指腸の運動機能の異常や内臓知覚過敏、心理社会的因子、胃酸分泌、遺伝的要因、生育環境、生活習慣(運動・睡眠・食事・喫煙など)、消化管の炎症、腸内細菌バランスの乱れ、感染性胃腸炎の既往、幼児期の虐待のトラウマなど、多数の要因が複雑に関与して各種の症状が引き起こされると考えられています。
みぞおち(心窩部)あたりに感じる不快な症状が主体となりますが、症状には個人差があり多彩な症状がみられます。一般的に頻度が高い症状は下記のようなものがあります。
機能性ディスペプシアの診断には器質的疾患の除外が必要となります。
まずは診察時の病歴・症状の詳細な確認が重要であり、詳細な問診を行ったうえで症状に応じて各種検査を進めていきます。問診には専門の問診票を用いることもあります。
各種検査で原因がはっきりしない状況で症状が続く場合に、機能性ディスペプシアと診断します。
器質的疾患を疑う徴候として、以下のようなものが挙げられます。
これらの徴候がある方は機能性ディスペプシアだけでなく、その他の器質的疾患を伴っている場合があります。機能性ディスペプシアと似た症状を起こす疾患として、
など多くの疾患がありますので、これらの疾患が疑われる場合には血液検査や腹部超音波検査、内視鏡検査などから症状にあわせて必要なものを行います。特に、慢性胃炎やピロリ菌感染が機能性ディスペプシアの症状に関与していると言われているほか、潰瘍や胃がんの有無の確認も必要であることから、内視鏡検査(胃カメラ検査)は重要な検査となります。
※当院の胃内視鏡検査について、詳しくはこちらをご覧ください。
食事や生活習慣の改善と投薬治療が治療の中心ですが、ストレスの軽減も重要です。
生活習慣の改善
機能性ディスペプシアは自律神経の乱れによって症状が誘発されることが多く、睡眠不足と運動不足が機能性ディスペプシアに関与しています。十分な睡眠時間を確保して休養をとり、規則正しい生活リズムを作ることが重要です。また、喫煙は胃の運動機能低下や十二指腸の知覚過敏をきたし、食後の胃もたれや早期満腹感の原因となることが報告されています。喫煙は機能性ディスペプシアと逆流性食道炎や過敏性腸症候群の併発リスクを高めるともいわれており、禁煙により様々な症状を軽減できる可能性がありますので、喫煙習慣のある方は禁煙をおすすめします。
食習慣の改善
機能性ディスペプシアの症状軽減と予防には、食習慣の改善がとても重要になります。高脂肪食は胃の動きを低下させる作用があり胃もたれなどの原因となる他、アルコール、香辛料、カフェインが多い飲料(ブラックコーヒーなど)も胃酸分泌を増加させることで症状悪化の原因となります。食べ過ぎや不規則な食事は消化不良などの原因にもなりますので、食事の時間を意識することも重要です。食べ過ぎに注意して、ゆっくりよく噛んで食事をとることを心がけましょう。
ストレスの管理
ストレスをできるだけ溜めない生活を送ることもポイントとなります。過度な生活・食事管理や節制はストレスを増やす原因にもなりますので、無理のない範囲で食事・生活習慣などを改善していきましょう。ストレス軽減には趣味を持つことや適度な運動も効果的といわれています。社会生活を送るうえである程度のストレスは感じる方がほとんどだと思いますので、「ストレスをなくす」のではなく、日頃から「ストレスと上手に付き合っていく」という意識をもつことが大切です。
薬物療法
機能性ディスペプシアの症状は、消化管の機能異常や知覚過敏、ストレスなどによって引き起こされると考えられています。消化管の機能異常に対して、胃酸分泌抑制薬(胃酸の分泌を抑えます)や消化管運動機能改善薬(胃腸の動きを助けます)などが有効である他、漢方薬にも消化管運動・知覚過敏に効果のあるものがあります。精神的な要因が強い方には、一部の抗不安薬や抗うつ薬も症状軽減に有効といわれています。症状のタイプや患者様それぞれの状況に応じて、これらの薬剤を組み合わせて治療を進めていきます。また、ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌治療によって症状が改善する場合もあります。
原因がはっきりしない疾患であり、患者様の症状に合わせて食事・生活指導と薬物療法を適切に組み合わせていくことが重要です。治療効果がみられるまでに時間がかかる場合もあり、原因不明であることで不安を感じる方も多いため、治療を継続していくためには患者様と医療者の信頼関係をしっかり築いていくことも大切です。検査で異常がないことをしっかり説明させていただくことで、不安が緩和され自然に症状が改善する方もおられます。当院では、少しでも不安を取り除くことができるように患者様一人ひとりにあわせて丁寧な説明と対応を心がけております。些細なものでも症状にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
| 保険診療 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|
| 内視鏡検査(観察のみ) | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| 内視鏡検査(観察+生検組織検査)※ | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| 腹部エコー(超音波検査) | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| 腹部CT検査 | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| 血液検査 | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
| ピロリ菌検査 | 準備中 | 準備中 | 準備中 |
(税込み)
※生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です。
※上記費用に診察料、薬剤料などが別途かかります。

TOP